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「着信もメールもなしか……」
普段着に着替えた俺は、自分の部屋で携帯電話の液晶画面を眺めながらため息を吐く。
母さんの奴、さっきは散々『ヘタレ、ヘタレ』って連呼してさ。
確かに奈緒に会えずじまいで、今日は呼べなかったよ。
婚約の話も出来なければ、好きの”す“の字も言えてないさ。
だから今日は仕方なしに『ヘタレ』なのは認めるけれど、俺はこれからも奈緒を絶対諦めないからな。
コンコン……
「蒼様、皆様がいらっしゃいました」
「わかった、今行く」
あー、嫌だ。
俺は重い足取りで、呼びに来たメイドの後を着いていく。
あー、本当に最悪だ。
早く終わると良いけどなぁ……
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