蒼の憂鬱 ②

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「着信もメールもなしか……」 普段着に着替えた俺は、自分の部屋で携帯電話の液晶画面を眺めながらため息を吐く。 母さんの奴、さっきは散々『ヘタレ、ヘタレ』って連呼してさ。 確かに奈緒に会えずじまいで、今日は呼べなかったよ。 婚約の話も出来なければ、好きの”す“の字も言えてないさ。 だから今日は仕方なしに『ヘタレ』なのは認めるけれど、俺はこれからも奈緒を絶対諦めないからな。 コンコン…… 「蒼様、皆様がいらっしゃいました」 「わかった、今行く」 あー、嫌だ。 俺は重い足取りで、呼びに来たメイドの後を着いていく。 あー、本当に最悪だ。 早く終わると良いけどなぁ……
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