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聡子に会うのが恐い。
今さら何の用?って追い返されたらどうしよう。
私、聡子の友達だよね?
今もまだ友達でいてくれるかな?
私みたいなの、友達にしてくれないかな?
聡子と、きちんと話をしないと・・・。
《ミーン、ミーン、ミーン》
もうすぐ夏本番。
すぐ側で蝉が鳴いている。
うるさいなぁ。
蝉に八つ当りしながら涙を拭った。
涙の変わりに額には汗。
握った手のひらも汗ばんでる。
私は大きく深呼吸し、
震える手でインターホンを押した。
《ピンポーン》
無機質な機械音が響き渡る。
私の心臓は早鐘のように脈打ってる。
「はーい」
出てきたのはお母さんだ。
何度か遊びに来てるから私のことを知ってるはず。
「お久しぶりです。えっと聡子は・・ずっと学校、休んでて気になって・・・えっと・・」
私は何が言いたいのか分からないくらいにしどろもどろで話した。
「有希ちゃん・・長いこと顔を見せてくれないから心配してたのよ。あの子、あんなだし有希ちゃんしか友達いないでしょう?有希ちゃんが来たら、渡してほしいって手紙預かってるのよ。ちょっと待っててね?」
そう言ってお母さんは一通の封筒を持ってきた。
「これ、読んであげて。」
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