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「捜しに行ってくるよ。君はツカサを頼む」
話しながらツカサを下ろす。
玄関へ向かうヤスナリに駆け寄り、ツカサは首を傾げた。
「父ちゃん、何処行くの?またお仕事?困ってる人を助けに行くの?」
その問い掛けに腰を屈めて茶色の瞳にツカサを映し、ヤスナリが答える。
「父ちゃんはユキを捜しに行ってくるよ」
「俺も一緒にユキ捜しに行く!」
声を上げてピョンピョンと跳ねたツカサに、ヤスナリは微笑んだ。
「雨が降ってきそうだから、ツカサは母ちゃんとお留守番だ」
頭へ手を乗せ、クシャッと撫でる。
「え……ヤダ、俺も行く!」
返ってきた声と唇を尖らせたその表情から、留守番が不満なのは明らかだ。
ヤスナリが、短く切り揃えられた金髪をガシガシと掻く。
それからクッと口角を上げ、ツカサの前にしゃがんだ。
「それじゃあこうしよう。父ちゃんがユキを捜しに行ってるあいだ、ツカサは怪物から母ちゃんを護っててくれ」
途端に、ツカサの顔が強張った。
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