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「怪物………来るの?」
クルクルと変わる表情に、思わずヤスナリが笑う。
「『もしも来たら』って事だよ。大丈夫、ツカサが居れば来ないさ」
金の瞳を横へ逸らせ少し考える。
それからツカサは口を開いた。
「父ちゃん、早く帰ってきてね」
「ああ、すぐ帰るよ」
「俺、待ってるから」
「ああ、母ちゃんを頼んだぞ。―― それじゃあ、捜しに行ってくるよ」
ツカサに答えると、ヤスナリはツキカの肩を抱いて短いキスをした。
玄関の扉を開け、今にも降りだしそうな曇天の下へ出て行く。
「気をつけてね、ヤス」
「父ちゃん、いってらっしゃい!」
元気に手を振るツカサの前で、その扉はパタンと閉まった。
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