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それから約二時間後――
外は激しい雷雨となっていた。
ユキナリを捜しに行ったヤスナリは、まだ戻らない。
直ぐにでも様子を見に行きたいがツカサを一人にするわけにもいかず、ツキカはただ両手を組んで時計を見つめていた。
ふと、室内が妙に静かな事に気付く。
徐に目をやると、食事と風呂を済ませて遊んでいたツカサは、おもちゃを手にしたまま居眠りをし始めていた。
「まあ……ツカサったら」
小さいながらもヤスナリによく似た背中に、思わず微笑む。
後ろ姿だけでは無い。
見た目も性格も仕種も言動も、ツカサはヤスナリによく似ていた。
「ツカサ、もう寝ましょうね」
眠気で暖かくなった頭へ手を乗せると、ツカサは目を擦りながら顔を上げた。
「ユキと父ちゃん、帰ってきた?」
ツキカはその問い掛けに、少し困惑した。
だが、ふたりがまだ戻らない事を幼いツカサに告げても仕方が無い。
何かがあったわけでは無いのだから。
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