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気を取り直して、微笑んでみせる。
「もうすぐ帰ってくるわよ。さあ、ベッドへ行きましょう」
お気に入りの赤いドラゴンの縫いぐるみを抱えて立ち上がったツカサの手を引いて、ツキカは子供部屋へと向かった。
ツカサをベッドへ寝かせ、タオルケットを掛けてやる。
頭を数回撫でると、ツカサは直ぐに眠りについた。
自分の持つ体力の限界ぎりぎりまで動き回るためか、寝付きが良いのもツカサの特徴だ。
「良い子ね……」
金の目を細め、寝顔を見つめる。
それから胸の前で手を組み、ツキカは目を伏せた。
「神様……この子が幸福な日々を送れるよう、お護り下さい」
いつもの儀式を行い、徐に立ち上がる。
部屋を出たツキカの手によって扉が閉められ、部屋は闇に包まれる。
雨は相変わらず激しく降り注いでいた。
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