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「神様。どうかこの子を連れて行かないでください。この子を――」
思わず手を伸ばし、蒼褪めた柔らかな頬に触れる。
その時――
ヤスナリは目を見張った。
それまで時折モゾモゾと動くだけだったその赤ん坊が、頬に触れたヤスナリの指を追って横を向いたのだ。
そう、母の乳房を求めるように。
「あぁ……ああ!この子は生きようとしている。生き続けたいと言っているんだ!」
声を上げ、愛おしい二人の我が子の頭を撫でる。
そしてヤスナリは、それぞれの小さな額へ唇を押し当てた。
「おまえの大切な兄弟を死なせはしない。俺が……父ちゃんが助けてやる。今すぐに!」
眩しい光に部屋が包まれる。
窓から漏れた一条の光は、暗い空を貫いた。
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Segnopane
~ 星飾の狂想曲 ~
TSUKASA side
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Restoration 0
― 雨の記憶 ―
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