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「ツカサは元気が良すぎね。少しもじっとしていられないんだから。お家に居ても、目が離せないわ」
穏やかな笑みを浮かべ、頭を撫でる。
「ほら、もう痛くないでしょ?」
「う……ん……」
膝の上で、両手で交互に目元を拭いツカサが肯く。
その額に軽く唇を押し付け、ツキカは目を細めた。
「それじゃあそろそろ父さんが帰るころだから、夕飯の準備をしましょうね。ツカサはユキを呼んできてちょうだい」
双子の弟のユキナリの事を口にしたツキカに、ツカサは首を横に振った。
「ユキ、いないよ」
「え?」
「オヤツのあと、どこかへ行った。俺、ついて行こうと思って追い掛けたんだけど――」
ツカサはその時の事を思い出したのか、少し唇を尖らせた。
おそらく見失ったのだろう。
ツキカが時計に目をやる。
既に六時近くになっていた。
いつもならとっくに帰っている時間だ。
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