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伏せていた頭を上に向けると、社会科教師の山本が教科書片手に面白く無さそうな顔をして立っていた。
その時、夢で起きたあの衝撃が何なのか分かった。
どうやら、寝ていた私は、山本の教科書の餌食となったらしい。
窓側の列、しかも一番後ろの席だ。
寝るには絶好の場所だった。
私が通う学校は、つまらない人生を歩むであろうまじめ君、まじめちゃんばかりだ。
故にこの学校で授業中に居眠りをする生徒は唯一私だけなのだ。
憎らしい程に私を見下す山本が言った。
「中川、また寝てんのか?その机の寝心地はどうだ?」
そういえばこの机で寝るのは初めてだ。
先日、私が使っていた机が急に壊れ、この机と取り替えたのだ。
私は仕方なしに、山本の質問に答えた。
「…不思議な机です」
山本はその意味が分からなかったようで、一瞬、首を傾げて授業を再開した。
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