夢の中

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彼が本当に夢の中だけの人物なのか、私には分からなかった。 それにしてはリアルで感情が表に出ている気がするのだ。そしてなにより、彼には心があった。 そんな彼が、この空気に耐えられなかったのか、私の顔をじっと見て話した。 「やっぱり言わなきゃだよね‥実は僕… その時、またもやあの衝撃が走った。 そして恨めしい事に目が覚めてしまったのである。 私は思わず声を上げ、立ち上がった。 周りからは驚いたような目つきが集まる‥山本はびっくりして体をのけぞってしまった。 「お前‥どうした?」 「いえ、なんでもありません‥」 私はそう言うしか無かった。 どうせあの夢を説明しても意味は無いのだから‥どうせ流されてしまうのだから… 春という美しい季節‥風でカーテンはなびき、静かな鳥のさえずりが子守歌となるこの席は、いつしか私の宝物となって行った。
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