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主を失ったアルフォンス派がセオドアを王位に就かせないようにするべく、ジェラルド派になったのだ。
もともと王位を継ぎたくないと明言していたジェラルドにとってはありがた迷惑だ。セオドアとジェラルドのステータスはほぼ同じで、国内に強い後ろ盾を持っているか、それとも国外か、というだけの違いだ。
あわよくば、と狙っている奴らにジェラルドは辟易しているらしい。
「そんな人の思惑が詰まったこの城に来たがらないのよ」
苦笑しながらエレインはカップを持ち上げる。
「アルフォンス派が生きてた頃は、毒を盛られかかってたもの」
「んぐっ!?」
見事に気管へ紅茶が流れ込み、レティシアはむせ始める。
「げほっごほっ、うえっ」
「レティシア様!?」
餌付き始めたレティシアに女官たちは慌てふためく。ぜーぜー言う様は姫には見えない。エレインに背中をさすられてようやく落ち着く。
昨日出会って、昨日結婚した相手が過去に毒を盛られかかったなど、知らないので驚くのも無理はない。呼吸を整えている間も呆けた表情のレティシアにエレインは苦笑いしか浮かべることができなかった。
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