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「ジェラルドはあなたをここに連れてきたがってなかったの。命を脅かされるんだもの」
お国柄か過激な人も多くてね、とエレインは呆れたように呟く。
私の周りに過激派っぽい人がいなくてよかったわ。危機感のない私はすぐに殺されちゃうもの。
「だから、簡単に信じちゃダメよ」
険しい顔をしたエレインの瞳はどこか冷静で、この人はただ薄ぼんやり生きているような人ではないと感じる。それもそうだろう、彼女とて王位継承の争いに巻き込まれているのだから。
いずれ自分もこの闇に呑まれるのだろうか?決してエレインが闇に呑まれたといっているわけではない。彼女は日のさす場所を目指して、したたかに生き抜いているだけ。
闇に飲まれることなく、ひたすらに明かりを求めることができるか、レティシアは自信が無くなりつつあった。
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