黒白のメヌエット(1)

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 謁見の間に入ってさまざまな視線を受ける趣味はない。  少なくとも自分には。  嘲笑や冷笑などを浴びるのが好き!というマゾヒストでもない。むしろサディストに分類されるほうではないだろうか?ここに集まる兄以外の人間を足蹴に出たら、少しは気分がマシになるかもしれない。若干残忍さをうかがわせる思考をめぐらしながら、どうにか気分を切り替え、目の前にいる兄にのみ満面の笑みを浮かべた。別にブラコンというわけでもなければ、同性愛という趣味もない。むしろ女性のほうがいいだろう。ゴツゴツした体を抱きしめるより、幾分やわらかいほうが気分的に嬉しい。  変態思考も重ねつつ、目の前に座す王に対しひざまずいた。 「昨日振りですね、父上」  会いたくなんかなかったんですよ?と心の中で悪態をつきながらも、優雅な笑みを向ける。父の隣には義母のキアラがいて、ジェラルドにギラギラという表現がもっともふさわしいような視線を向けていた。それは憎悪交じりでありながら、彼がまるでまぶしいものであるような歪んだ視線。  実を言うと、ジェラルドはキアラを好いていない。
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