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セオドア派とジェラルド派、極少数のアルフォンス派。三人の周囲が勝手にはじめた王位継承権争い。アルフォンスは知らないが、ジェラルドにはこれっぽっちも王位継承を狙っていない。しかしアルフォンス派だった者も、アルフォンスが他国との約束を反古にしたことにより、なぜかジェラルド派になってしまったのだ。
ジェラルドにとってこの状況はかなりいただけない。下手をすればレティシアにも、良し悪し関係なく手がのびるはずだ。
セオドアのすまなそうな顔を見て、ジェラルドは苦笑を浮かべるしか出来ない。否応なしに巻き込まれている兄に怒りや不満をぶつけるのは筋違いだからだ。
「おまえは来ないと思ったのだがな」
「勝手に決定を下されるのも困るんでね」
僕は王になんかなりたくないんですよ、とニコニコと言い放ってやった。目をむく周囲と呆れた表情を浮かべる父と兄。うん、かなりいい表情を見た。
「三人だけで話したい。皆、席をはずせ」
各部署のエンブレムが付いたローブを着た集団も兵士も一気に部屋を退出する。残されたのは、王とセオドアとジェラルドだけ。
しかし、
「いるんだろう?アルフォンス」
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