95人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前、着替え長ぇんだから早くしろよ」
「今何時ー?」
「7時」
「うおっ、やっべ」
「俺、上に行ってるからな」
「おー」
慌ててバスルームに走るリュウを横目に、すっかり支度を終えた俺はケータイを充電器のコードから引っこ抜く。
短縮ボタンを押して耳に当ててすぐ、俺より少し低め声が電話に出た。
「しょーちゃん?おはよ。今から行くねー…え?あ、うん、リュウ来てるから」
しょーちゃんとは。
俺の父親のこと。
我が家は、というか俺は両親を名前で呼ぶ。
まあ、癖みたいなもんだ。
父ちゃんは、しょーちゃん。
母ちゃんは、まーちゃん。
そして、なぜ電話かって。
我が鈴原家は、二世帯だからだ。
かと言って、今年高2の俺に嫁がいるわけがない。
もちろん、リュウ――龍児は男。
俺のクラスメート。
ちなみに、今日みたいに不法侵入しては自分ちのように使い回す。
俺の許可なしに。
うちは世間一般の家庭とは、
ちょっっとばかり勝手が違うんだ。
最初のコメントを投稿しよう!