ウラ/オモテ

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「お前、着替え長ぇんだから早くしろよ」 「今何時ー?」 「7時」 「うおっ、やっべ」 「俺、上に行ってるからな」 「おー」 慌ててバスルームに走るリュウを横目に、すっかり支度を終えた俺はケータイを充電器のコードから引っこ抜く。 短縮ボタンを押して耳に当ててすぐ、俺より少し低め声が電話に出た。 「しょーちゃん?おはよ。今から行くねー…え?あ、うん、リュウ来てるから」 しょーちゃんとは。 俺の父親のこと。 我が家は、というか俺は両親を名前で呼ぶ。 まあ、癖みたいなもんだ。 父ちゃんは、しょーちゃん。 母ちゃんは、まーちゃん。 そして、なぜ電話かって。 我が鈴原家は、二世帯だからだ。 かと言って、今年高2の俺に嫁がいるわけがない。 もちろん、リュウ――龍児は男。 俺のクラスメート。 ちなみに、今日みたいに不法侵入しては自分ちのように使い回す。 俺の許可なしに。 うちは世間一般の家庭とは、 ちょっっとばかり勝手が違うんだ。
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