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ーー……
あなたは知っていますか?
格安物件には曰くがついている事を……。
一概に全ての格安物件に曰くがついてるとは言えない。
しかし……。
もしかしたら、あなたの身近に何らかの曰くつきの格安物件があったとしたら……。
……ーー
白い外壁がお洒落な2階建てのアパート、
築30年という話だが、綺麗に手入れされ古さを感じない。
このアパートのとある一室だけ、『格安』の部屋が存在する……。
「ワンルームで共益費込み家賃一万円。
格安で曰く付きらしいが……。
上出来、上出来。」
青年はぐるりと部屋を見渡し、うんうんと頷いた。
今時こんなに安い部屋はないと、青年は満足している。
青年の名前は安西 京太郎(あんざい きょうたろう)。
茶髪に染めた少し長い髪に、細身で背が高くクールな顔立ちをした彼。
この春、大学進学の為このワンルームの部屋へ住む事になった。
彼は、奨学金を借り大学へ進学した。
家庭の事情から必要最低限の仕送りしかしてもらえない。
まだアルバイトも決まっておらず、少ない資金で遣り繰りをしなくてはならなくこの安い物件に辿りついたのだ。
「何だこの染み?
『リホーム済み』とか言いやがって肝心なとこ手抜きかよ。
天井を見上げると、不思議な染みがあった。
大きな模様のような染み。
京太郎は気にはなったものの、引っ越しの疲れからか倒れ込むようにばたんとベットへ寝転がった。
「あれ?
この染み……。
何だか女性みたいなシルエットだな。」
眠い目でぼんやり天井を見ていた京太郎は呟いた。
染みは髪の長い女性が悲しげな顔で見下ろしているようにも見える。
「ふあぁ~……。」
暫くぼんやりと天井をみていたがいつしか京太郎は、眠りについた。
そして京太郎は、染みの事を忘れ深い深い眠りへと落ちていった。
この染みが何の意味を表すのか、この時の京太郎は知るよしもなかった……。
これから始まる『恐怖』を……。
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