染み。

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事件から数日後。━━…… 空き部屋となったこの部屋へリフォーム業者がやってきた。 「またこの部屋の住人亡くなったのか?」 髪の毛の少し寂しい小太りの中年男が壁紙を張替えながら言う。 「らしいッス。 これで二人目ッス。」 一緒にいたまだ若い長身の青年は仕事をしながら答える。 「『呪いの部屋』って言うくらいだからな。」 手を止め中年の男は部屋をぐるりと見渡した。 「あれ? この染み二個あったッスか?」 青年は天井の染みを指差した。 まるで男女二人寄り添ってるかのような染みがくっきりと浮き出ていた。 「いや、前は一個だったがな。」 中年の男も染みに目をやった。 「気味悪いッス。」 染みを凝視していた青年は眉間にシワを寄せた。 「早く終わらせようぜ。」 同じように感じていた中年の男は、青年に仕事を促した。 「そうッスね。」 青年も素直にそれに応じ、仕事に戻る。 ━━…… 二人の会話は他愛のない会話かもしれない。 それはこの部屋で起きた事件の『真相』を知らないから……。 もし、『真相』を知ったら冷静でいられないだろう。 『真相』を語るものは誰もいない。 死人に口なしだから……。 もし……。 あなたが住もうとしている物件が、なんらかの『曰く付き』物件だったら……。 あなたならどうしますか? その運命を決めるのはあなたです。 すべてはあなた次第ですから……。 ……━━
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