王様・GAME。

2/8
前へ
/42ページ
次へ
ーー…… 不気味な森の奥にこれまた不気味な洋館がある……。 土砂降りの雨に稲光が見える。 時折、蝙蝠がギャアギャアと煩く鳴く。 それがより一層洋館の不気味さを醸し出している。 ……ーー 「クックックッ……。 笑いが止まらないね。 実に面白い。」 男は稲光がする外を見ながら不敵に笑っている。 この男は変わった格好をしている。 すらりとした長身に、黒ずくめの服に黒いマント。 頭にはシルクハットをかぶり、顔はピエロのような仮面で素顔を隠してる。 「ギャギャギャ!」 男の横で大きな目玉だけの生物が、宙に浮きけたたましく鳴いた。 「あぁ、そうだったね。 次の『王様』を選ばなくてはね。」 男は目玉だけの生物を撫でた。 「王様だ~れだ!」 男が叫ぶと、目玉が光り壁をスクリーンがわりにし映像を映し出した。 映像には二人の青年が映し出され、顔の下には青年達のプロフィールが出された。 「おやおや? 今回は『王様』は二人か……。 こりゃ、初めてのパターンだな。 映像にきちんと残してくれよ。」 男は嬉しそうに言う。 「ギャッ!」 男の言葉に目玉は頷いて答える。 「彼等も気の毒だ。 まだ若いのに……。」 映像に触れ男は呟くようにして言った。 「ギャギャギャ、ギャギャ。」 男の呟きに反応するように、目玉は何か言っている。 「まぁ、そうだな。 GAMEをCLEARすれば問題ない話だな。 CLEARすれば……だがな。 クックックッ……。」 目玉の言ってる事がわかったのか、男は答えている。 そして、男は不気味に笑いながら目玉と共に洋館を後にした……。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加