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━━……
暫く女性がてくてく歩く映像が流れた。
「よぉ!」
女性の前に一人の青年が現れた。
背が高く中々のイケメンである。
「翔太くん!」
青年を見て女性は顔を赤らめた。
「なぁ、お前に命令がある?」
真面目な顔をして青年は女性を見た。
「命令?」
まさかと思いつつ、女性は聞き返した。
「俺にキスしな。」
女性をジッと見つめながら青年は言う。
どうやら、本気のようだ。
「え?」
顔を真っ赤にし、女性は戸惑った。
「出来ないの?」
戸惑う女性にジリジリと青年は近づく。
「いや、その……。」
ドギマギしながら、女性は後退りする。
「俺、お前が好きだ!
だからキスしてくれ!」
ガッ!
青年は強引に女性を引き寄せた。
「やだ!」
引き寄せられた女性は、反射的に拒んだ。
ブロロ……。
その瞬間、女性にスレスレで車が通過した。
「あぶねぇぞ!
こら!」
運転手は女性に罵声を浴びせ、去って行った。
『王様は命令されたら実行しなきゃ、もっと酷い目に会いますよ?』
目をキョロキョロさせ状況を把握できない女性の耳に、KINGの声が聞こえた。
「!?」
驚いた女性は、キョロキョロと辺りを見渡しKINGを探した。
だが、KINGの姿は何処にも見当たらない。
『私は何処ででもあなたを見てます。
アレ見てわかってますよね?』
まるで女性の行動を予測していたかのように、KINGは淡々と話す。
「……っく。」
女性は思いきって青年にキスをした。
「ありがとよ。」
キスをされた青年は、満足そうに去って行った。
『GAME CLEAR。』
再び、KINGの声が女性の耳に聞こえた。
「ちょっと!
悪ふざけはやめてよ!」
女性はどこにいるかもわからないKINGに怒りをぶつけた。
『悪ふざけではありません。
あなたは選ばれた『王様』です。』
怒りをぶつけられてもKINGの口調や態度は冷静沈着である。
「あたしこんなGAME参加してないわ!」
眉を吊り上げ女性は更に怒りをあらわにした。
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