王様・GAME。

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『……ドロップアウトですか?』 KINGの声のトーンが少し低くなった。 「知らないわ!」 KINGの声の感じが変わったのに気づきながらも、女性は強気の態度で物を言う。 『このGAMEは途中でやめると大変な事になりますよ? 存じてるはずです。』 KINGの声の感じから何となく怒りを感じ取れる。 「だから知らないっていってるじゃない!」 あまりにもしつこいKINGに女性はイライラするばかりである。 『……そうですか。 ですが、あなたはリタイアできませんから。』 勝ち誇ったようにKINGは言う。 「マジ勘弁。」 半ば疲れてきた女性は、足を家路へと向けた。 ドカッ。 その瞬間、女性は誰かにぶつかった。 バサバサバサッ。 ぶつかった拍子に相手のレポート用紙が舞った。 「……と、すみません。 あ、川野さん。」 女性の前には一人の女が立っていた。 『川野』と呼ばれた女性は、長い丈のスカートに腰まで長い髪を二つおさげにし黒ふちの眼鏡をしている。 一昔前の優等生風の女性である。 「三浦さん、あなたに命令よ。 『クラスの女子全員殺して。』」 川野の眼鏡がギラリと怪しく光った。 「はぁ? どうしたのさ? 才女の川野さんまでこのGAMEしてるの?」 状況が把握できない女性は、首を傾げた。 「私はクラスの女子に陰湿なイジメを受けてる。 だから消して欲しいのよ。 『王様』の手で……。」 川野の頬を一筋の涙が流れた。 「答えになってないわよ!」 川野の涙を気にしながらも、女性は怒鳴った。 「……『王様』は絶対に命令聞かなきゃいけないのよ。」 涙を拭い、散らばったレポート用紙を拾うと川野はさっさと行ってしまった。 「川野さん! 何なのよ、全く。」 いいたい事言って立ち去った川野に、女性はため息をついた。
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