白日の夢

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海風に乗ってスカーフは大分飛ばされた。 もう肉眼では見えない。 「あれ無いと困るんだよね~。 気に入ってるからさぁ~。 形見だし~。 ほらエル!あっちに飛んでった!」 森の方を指差しながら手招きしてくる。 「自分で行けよ」 レオを小突くと、レオは飽きれた顔をした。 「皆で探した方が早く見つかる!!」 胸を張って言い切るが、今度はレインに小突かれた。 「格言のつもり?」 「名言のつもり~!」 迷言でしょと言われて今度はケラケラ笑い始めた。 なかなか探しに行こうとしない。 いつもそうだ。 道草ばかり。 見ててハラハラする。 「さっさと探さないと見つからないぞ? もうすぐ日の入りなんだぞ」 夕焼けに染まる海を見て、レオは慌てて走りだした。
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