Step 1

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「そんな事無いけど……」 「んじゃ遠慮無くどーぞ」 ニッと笑いながらメロンパンを差し出す。 「……有難う……頂きます」 ふわっと微笑み小さく頭を下げて受け取った倉木は、何故か照れ臭そうにしていて。 そんな様子には、素直に好感が持てる。 見た目は言わずもがなで、性格も悪くないんだよな、コイツは。 よく知らねーけど、多分。 特定の相手を作っちまえば問題解決だろうに、何故コイツは誰とも付き合わないんだ? 包みを開け、モソモソとメロンパンを食べ始めた倉木に、穏やかな声で語り掛けた。 「倉木、彼女でも作れば?」 「ぐ……ゴホゴホッ!」 「ちょっ! おまっ!」 突然激しく噎せた倉木にイチゴオレを差し出しながら、背中を叩き、摩る。 涙目で「大丈夫」と繰り返す倉木を尻目に、そんなに驚く事も無いだろうよと、半ば呆れた。
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