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「そんな事無いけど……」
「んじゃ遠慮無くどーぞ」
ニッと笑いながらメロンパンを差し出す。
「……有難う……頂きます」
ふわっと微笑み小さく頭を下げて受け取った倉木は、何故か照れ臭そうにしていて。
そんな様子には、素直に好感が持てる。
見た目は言わずもがなで、性格も悪くないんだよな、コイツは。
よく知らねーけど、多分。
特定の相手を作っちまえば問題解決だろうに、何故コイツは誰とも付き合わないんだ?
包みを開け、モソモソとメロンパンを食べ始めた倉木に、穏やかな声で語り掛けた。
「倉木、彼女でも作れば?」
「ぐ……ゴホゴホッ!」
「ちょっ! おまっ!」
突然激しく噎せた倉木にイチゴオレを差し出しながら、背中を叩き、摩る。
涙目で「大丈夫」と繰り返す倉木を尻目に、そんなに驚く事も無いだろうよと、半ば呆れた。
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