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何か俺の心臓ドキドキうるさい。
訳の解らない胸の高鳴りを感じながら、根性で倉木に視線を合わせた。
泳ぎそうだけど固定だ固定!
俺は何も疚しくないし、人と話す時はちゃんと相手の目を見ないとな!
「友達……だろ? 俺は京介だ、圭」
裏山で会った時とは違う、穏やかな声と優しさを孕んだ眼差しで圭に問い掛ける。
彼の下の名を呼んだ瞬間に跳ね上がった心臓に動揺中なのは、もの凄く内緒だ。
「友達か……。サンキュ、京介」
噛み締める様に呟き、心からの笑顔を向ける圭を、複雑な思いで見詰めた。
女用のスペシャルスマイル出して何やってんだ、俺。
「行こう、遅刻する」
何とも言えない思いを振り切る様に、少し……少しだけ! 早足で教室へと向かった。
何だかえらく調子が狂っているのを自覚しながら――。
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