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鮮明に甦る記憶と、現在が重なる。
戸惑いながら圭の元へと戻った俺の手からミルクセーキを取ると、「デザイン変わっちゃったね……」と、寂しそうに呟いた。
目を閉じて缶を頬に当てる圭。
妙な気持ちに包まれ何も言えず、ただ、そんな圭を見詰めていた。
暫くすると、「あ、冷めちゃう」と言い、缶を開けて一口。
「甘~い! 味は変わらないや」
キラキラした笑顔を見せた。
圭、お前もあの日を追い掛けているのか?
「京介、私ね? 今日京介が出掛けようって言わなかったら、ここに連れてきてって言おうと思ってたの」
「……何故?」
「何でだろ。呼ばれたのかな……あのお月様に」
圭の指差した先には、綺麗な逆三日月が浮かんでいた。
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