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ふと頭を過るあの人。
……慎一郎さん。
これは、あなたが見せる幻ですか?
そうならどうか……。
どうか、もう少しだけ俺達に。
この時間を下さい――。
「圭……俺もここに来たかった」
「うん、知ってる」
ニコニコと笑いながら答える。
「俺は、お前に伝えたい事がある」
「また私を泣かせるんでしょ?」
「ふっ、かもな」
でも今日は――。
大切にしてきた、あの日の思い出に浸りたい……。
逆三日月に見守られながら圭に交際を申し込んだ、あの夜の思い出に……。
長居はやめようと思ってたのに、ここから立ち去りたくなかった。
ミルクセーキを両手に包み、飽きる事無く星空を見上げ続ける圭も、きっと・・・・。
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