Step 9

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ふと頭を過るあの人。 ……慎一郎さん。 これは、あなたが見せる幻ですか? そうならどうか……。 どうか、もう少しだけ俺達に。 この時間を下さい――。 「圭……俺もここに来たかった」 「うん、知ってる」 ニコニコと笑いながら答える。 「俺は、お前に伝えたい事がある」 「また私を泣かせるんでしょ?」 「ふっ、かもな」 でも今日は――。 大切にしてきた、あの日の思い出に浸りたい……。 逆三日月に見守られながら圭に交際を申し込んだ、あの夜の思い出に……。 長居はやめようと思ってたのに、ここから立ち去りたくなかった。 ミルクセーキを両手に包み、飽きる事無く星空を見上げ続ける圭も、きっと・・・・。
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