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用意した場所、6年前に圭と思いを通わせ合った公園……両方、違うと思った。
「相応しい場所やタイミングなんて、必要無いのかな……」
ソファーに体重を預けて座り、両手で包んだカップを弄びながら、思い返す。
プロポーズをしようと決めていたあの夜。
結局、圭には伝えなかった。
何故だか、あの夜は相応しくないと思って。
言うなれば、あの夜は――。
そう……。
二人の気持ちを確かめ合う為の、大切な夜だった気がした。
訪れた公園。
決して色褪せていた訳ではないけれど。
6年前のあの日がより鮮やかな色を持ったあの夜、当時の自分の心までもが色を持った。
18歳の自分が、6年の時を経て、あの夜、あの場所に、確かに居たのだ。
圭にも見えただろうか。
6年前の、自分の姿が――。
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