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「おはよ」
起きてきた圭は元気が無かった。
足取りは酷く重く、泣いた様にも見える。
「お早う、どした?」
眠れなかったりイライラしたり落ち込んでいたり。
<駄目な時>の定番、万能ホットミルクを用意しながら聞いてみる。
すると圭は、見た目以上に<駄目>だったらしく、カップにミルクを注いでいる俺の背中にペタッと貼り付いてきた。
……本当に泣いた?
「夢……」
「ん? 怖い夢でも見た?」
体の向きを変え、シンクに寄り掛かって圭を緩く腕に囲う。
俯けている顔を、首を傾けて覗くと、伏せられた瞼を縁取るプラチナブロンドの睫毛は濡れ、頬には涙の跡があった。
やっぱ泣いたのか……。
瞼に軽く唇を押し当て、肩と腰に回した腕に僅かに力を入れてそっと抱き締める。
肩に顎を乗せてきた圭の頭を、いつもの様にポンポンと叩いた。
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