573人が本棚に入れています
本棚に追加
圭……俺は、お前を1人にはさせないから。
絶対とは言えないかも知れない。
世の中に溢れている、自分の意思だけではどうにもならない不確定要素のせいで。
それでも、少なくとも俺は……。
慎一郎さんの様に突然居なくなる事は無いと、約束してやりたい。
100%の安全保証なんて無い俺達の人生。
災害、事件、事故、病気――。
人は、いつ何が起こるか分からない毎日を送っている。
誰もがそれを理解していながら、でも、普段は意識せずに日々を過ごす事で、存在を無視し、死から遠ざかった気分になり、安心しているに過ぎない。
だから、意識すると途端に恐怖に囚われるのだ。
死が、驚く程に身近にあり、いつも隣り合わせている事に、気付くから。
圭は、夢を見て少し過敏になっている。
突然兄を失った事で、死が隣人である事を身を以て知っている圭。
一瞬で忍び寄ってくる死の在り方は否定してやれないけれど。
何とかしてやらないと――。
最初のコメントを投稿しよう!