Step 10

5/14
前へ
/205ページ
次へ
圭……俺は、お前を1人にはさせないから。 絶対とは言えないかも知れない。 世の中に溢れている、自分の意思だけではどうにもならない不確定要素のせいで。 それでも、少なくとも俺は……。 慎一郎さんの様に突然居なくなる事は無いと、約束してやりたい。 100%の安全保証なんて無い俺達の人生。 災害、事件、事故、病気――。 人は、いつ何が起こるか分からない毎日を送っている。 誰もがそれを理解していながら、でも、普段は意識せずに日々を過ごす事で、存在を無視し、死から遠ざかった気分になり、安心しているに過ぎない。 だから、意識すると途端に恐怖に囚われるのだ。 死が、驚く程に身近にあり、いつも隣り合わせている事に、気付くから。 圭は、夢を見て少し過敏になっている。 突然兄を失った事で、死が隣人である事を身を以て知っている圭。 一瞬で忍び寄ってくる死の在り方は否定してやれないけれど。 何とかしてやらないと――。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

573人が本棚に入れています
本棚に追加