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「京介。私ね? ……怖い」
愛する者の突然の死を経験している圭。
恐れるのは当たり前だ。
けれど、「俺は絶対死なない」なんて無責任な言葉で、圭の抱く恐怖を誤魔化す事は出来ない。
突然訪れる死の存在は、認めなければならない。
だけど、圭……。
囚われては駄目だ。
「確かに、絶対に居なくならないって約束は出来ないな」
敢えて淡々と、素っ気なく言う。
圭は信じられないといった顔をして、勢いよく俺を振り仰いだ。
歪んでいく圭の顔。
俺の顔も歪みそうだ。
こんな顔はさせたくない。
でも俺は、圭と2人、幸せになる為に言わなければならない。
それでも――圭、泣くな。
ここで泣いてしまったら、お前は負ける。
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