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「……絶対は無い。でも、だから何? 圭は、この先毎日ずっと、起こるかどうかも分からない<万が一>ばかりを考えて過ごすつもりなのか? 恐れて不安に思いながら過ごすより、泣いて笑って、限りある時間を決して無駄にしない様に全力で生きる方が余程素晴らしいと、俺は思うけどな」
圭を抱き寄せ、分かって欲しいと願う。
囚われてしまう事は、幸せを、未来をーー放棄してしまうのと同じ事だと。
「人には、当たり前の日常なんて存在しない。圭は、俺と出会った事を後悔してるか? 俺は、例え明日圭を失う事になったとしても、お前と出会った事を後悔なんてしない。生まれ変わって、何度同じ結末を迎える事になっても、俺はやっぱりお前と出会いたいと思う。お前と出会わない人生なんて、俺は要らない」
ジッと俺を見詰め、黙って耳を傾けている圭の額にキスをする。
強くなれ、圭。
失う事は辛いけど、それ以上に大切な事を見失うな。
俺は今、こうしてお前の傍に居る。
なのに、目の前の俺を通り越して、俺を失った未来に泣くなんてどういうつもりだ?
本末転倒だって、気付け。
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