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「京介……。私も京介と出会った事、後悔なんかしてない。――弱くてごめん。私、京介との時間を無駄にしたくないよ。お兄ちゃんに寂しい思いをさせてるなんて、考えた事も無かった。お兄ちゃん……ごめんね。命を失ってまで守ってくれたのに……お兄ちゃんの気持ち、全然分かってなかった。大好きだよお兄ちゃん。ずっと気付かなくてごめんね。泣いてばかりで、本当にごめんね」
圭は、顔をクシャクシャにして泣きながら、何度も何度も謝った。
それ程に圭にとって兄の存在は大きく、それだけに心に負った傷は深く――。
大切で、大好きだった兄。
取り返せるなら取り返してやりたい。
過去に戻り、彼を拐っていった、死神の手から。
「京介、私、もっともっと笑う! 思い出すのが辛くて話せなかったお兄ちゃんの話も沢山する!」
京介もお兄ちゃんも大切だから、強くなる。
圭は、ポロポロと大粒の涙を零しながら笑い、そう宣言した。
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