Step 10

10/14
前へ
/205ページ
次へ
「京介……。私も京介と出会った事、後悔なんかしてない。――弱くてごめん。私、京介との時間を無駄にしたくないよ。お兄ちゃんに寂しい思いをさせてるなんて、考えた事も無かった。お兄ちゃん……ごめんね。命を失ってまで守ってくれたのに……お兄ちゃんの気持ち、全然分かってなかった。大好きだよお兄ちゃん。ずっと気付かなくてごめんね。泣いてばかりで、本当にごめんね」 圭は、顔をクシャクシャにして泣きながら、何度も何度も謝った。 それ程に圭にとって兄の存在は大きく、それだけに心に負った傷は深く――。 大切で、大好きだった兄。 取り返せるなら取り返してやりたい。 過去に戻り、彼を拐っていった、死神の手から。 「京介、私、もっともっと笑う! 思い出すのが辛くて話せなかったお兄ちゃんの話も沢山する!」 京介もお兄ちゃんも大切だから、強くなる。 圭は、ポロポロと大粒の涙を零しながら笑い、そう宣言した。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

573人が本棚に入れています
本棚に追加