573人が本棚に入れています
本棚に追加
/205ページ
ニット帽からはみ出したプラチナブロンドの髪を風に弄ばれながら、冷気で頬と鼻を赤くした圭が、ピョコピョコと元気に歩く。
転びやしないかとヒヤヒヤするけど、手を繋いでいるからまぁ大丈夫だろう。
「お前は音痴な上に歌詞も間違えるのかよ。赤、青、黄色じゃ信号だっつの」
「あれ? 間違えた? あはは!」
素直で真っ直ぐな圭。
そして、強くもある。
お前には随分偉そうに分かった風な口を利いたけど。
実際に圭を失ってしまったら、俺はその後の人生を笑って過ごせる自信が無いよ。
ーーでも圭。
自分はこんなにも情けないくせに、お前には強さを求めずにはいられない。
俺はやっぱり、お前にはいつも、笑顔でいて欲しいんだ。
俺の我儘……許してくれよな。
きっといつまでも傍に居ると、約束するから――。
最初のコメントを投稿しよう!