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「圭様待ってー!」
「圭様ぁー!」
声のする方に目を向けると、またもや女子の集団に追い掛けられている圭の姿が。
「アイツまたかよ……。朝っぱらからあんなに走らされて有り得ねぇな」
呆れた声を出しながら、登校途中の俺の前を駆け抜けようとした圭の腕を掴み、校舎とは違う方向へと走る。
「わっ! え!? ちょ!」
状況が把握出来ず、戸惑いの声を上げる圭。
「ホラこっち、逃げるぞ」
「京介!?」
圭の腕を掴んだまま、裏山へと駆ける。
体育館や部室棟の脇を右へ左へと駆け抜け、一頻り走った後、後ろを確認して漸く立ち止まった。
お気に入りの桜の木に寄り掛からせると、ズルズルとヘタリ込んだ圭。
またしても呼吸は荒く、顔は真っ青だ。
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