Step 1

6/16
前へ
/205ページ
次へ
「はぁ……これからどうしよ……」 おいおいおい。 まだ9時前じゃないか。 ていうか、コイツ溜め息吐き過ぎだろ。 溜め息吐いた分だけ幸せが逃げるって、誰か教えてくれなかったのか? しゃーねぇ。 少し相手してやっか。 雑誌を傍らに置き、体を捻って顔を後ろに向ける。 「何がどうしようって?」 このまま存在を知らせず遣り過ごすつもりだったけど、倉木に対するほんの少しの好奇心で話し掛けた。 突然背後から聞こえた声に驚き、倉木は言葉も無く勢いよく立ち上がり、振り向く。 ……スゲー反応。 こっちがビックリしたわ。 どんだけ張り詰めてんだよ。 硬直している倉木を、木に凭れて座ったまま、目を細めて見上げた。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

573人が本棚に入れています
本棚に追加