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「圭くーん!」
「圭様ぁー!」
昼休み、語尾にハートマークを散りばめた黄色い声がアチコチから飛び交う中、倉木は校舎内を全力疾走していた。
息を切らせて辿り着いた先は、立ち入り禁止の屋上。
給水タンクを背に、荒い息を吐きながらドッカリと座り込む。
「はぁ……はぁ……マジ勘弁、身が持たないよ」
ん? この声、倉木?
学校を抜け出して旨いスイーツを堪能し、昼前に学園に戻って屋上で寛ぎの昼飯中なのに、また倉木が乱入。
つか、ここ立ち入り禁止だぞ?
またしても思いも寄らない場所で倉木と再会して、ちょっとビックリ。
「そんなに息を切らせて青春だねー。立ち入り禁止の屋上へようこそ、ご同輩」
と、自然と零れたであろう倉木の独り言に応えてみる。
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