第三章

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キール「そこは『望郷の洞窟』と呼ばれているんだ」 ファラ「なんで望郷なの?」 キール「さあ、なぜかな。洞窟のあたりは、特別、モンスターの出現が多いと聞いている。そこでやられた旅人が、故郷を思いながら死んでいくからかもしれない。推測だが」 リッド「けっ、大丈夫なのかよ。運動能力ゼロのおまえがそんなところを通って」 キール「バカにするなよ、リッド。ぼくは昔のぼくとは違うんだ」 リッド「それが武器なのか?」 キール「いや。でも、僕は晶霊学を学んでいるから、リッドに心配してもらう必要はない」 リッド「そうかい。べつに心配なんかしてねーけどよ」 ファラ「キール……なんか具合悪そうだよ?」 キール、転ぶ。 メルディ「あ」 キール「う、うるさいっ。寝不足続きなんだよ」 ファラ「ちょっと休もうか。ね?リッド」 リッド「はん。口ほどにもねぇの。ほら、ここにきて暖まれ」 メルディ「エディン ヤイオ ディウディンド?」【疲れましたか?】 キール「触るな!」 ファラ「キール、いまのちょっとひどいよ」 キール「ふん、こんな得体の知れないやつ、用心してなにが悪い?ま、意思疎通さえできれば使えそうだがな」 リッド「使える?どういう意味だよ」 キール「ぼくは黒体の危険性を証明したいんだ。こいつの話を聞けば、証拠がつかめるかもしれない。そうすればぼくは大学に戻れる……いや、それどころかきっと最高学府である王立天文台に招かれるぞ。ははっ!」 リッド「……ろくに体力もねぇおまえがいやに協力的だと思ったよ。目的は自分の地位か」 キール「違う!ぼくは真実を探求したいんだ。そのためには最高の環境が必要なのは、当然のことだろう」 リッド「……」
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