再会のその先

5/14
前へ
/331ページ
次へ
綺麗な茶色の丸い瞳。 自分の立場を見失ったあたしは、その瞳の中で捉えられていた。 『―――南海ちゃん!!』 甦った記憶があたしの頭を駆け巡った。 可愛くて、思わず守ってあげたくなるような男の子。 でも、その瞳だけには何処か力強さが宿っていたんだ。 いつもその瞳に、あたしを映し出してくれたことが嬉しかったんだ。 「輝流……」 やっと辿り着いたその名前を噛み締める様に呟く。 「やっと思い出してくれたあ♪」 可憐な花が、一斉に咲き出すような…そんな笑顔の持ち主。 相変わらず人懐っこい輝流。 「気付かないのもムリないって!髪染めたの?」 鮮やかな金に近い茶髪。 昔はこんな色してなかったもん。 「うん!でもちょっとだけだよ?」 人差し指と親指の空間を作り、その『ちょっとだけ』を示した。 いやいや、昔あんた黒だったじゃん。 「南海ちゃんは、全然変わってない!相変わらずイイ匂い~☆」 ギュウッとあたしに抱き付いてきた。 その抱き締める力にかなり驚いた。 笑顔はあの頃のままだけど、力とか、外見は"男の子"じゃなくてちゃんと"男"になってるんだ。
/331ページ

最初のコメントを投稿しよう!

184人が本棚に入れています
本棚に追加