184人が本棚に入れています
本棚に追加
綺麗な茶色の丸い瞳。
自分の立場を見失ったあたしは、その瞳の中で捉えられていた。
『―――南海ちゃん!!』
甦った記憶があたしの頭を駆け巡った。
可愛くて、思わず守ってあげたくなるような男の子。
でも、その瞳だけには何処か力強さが宿っていたんだ。
いつもその瞳に、あたしを映し出してくれたことが嬉しかったんだ。
「輝流……」
やっと辿り着いたその名前を噛み締める様に呟く。
「やっと思い出してくれたあ♪」
可憐な花が、一斉に咲き出すような…そんな笑顔の持ち主。
相変わらず人懐っこい輝流。
「気付かないのもムリないって!髪染めたの?」
鮮やかな金に近い茶髪。
昔はこんな色してなかったもん。
「うん!でもちょっとだけだよ?」
人差し指と親指の空間を作り、その『ちょっとだけ』を示した。
いやいや、昔あんた黒だったじゃん。
「南海ちゃんは、全然変わってない!相変わらずイイ匂い~☆」
ギュウッとあたしに抱き付いてきた。
その抱き締める力にかなり驚いた。
笑顔はあの頃のままだけど、力とか、外見は"男の子"じゃなくてちゃんと"男"になってるんだ。
最初のコメントを投稿しよう!