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「…いつまでそーしてんだよ」
面倒臭そうに髪を掻き上げる海都。
「…っ…う…だっ……て」
地面が、こぼれ落ちた涙で濡れる。
空っぽになった、今まであたしが住んでた家。
あたしの心の中も空っぽ。
…やだ。
もちろん、ばあちゃんのことは大好きだし、心配。だけど…。
この町も大好きだし、この家も大好きだし…。
なにより、この町のみんなが大好きだった。
この町からばあちゃん家までは、そう簡単に会える距離じゃない。
もしかしたら、二度と会えなくなるかもしれない。
そう思うと、流したくない涙まで、自然に出てきて――――。
「…っ…ずっ」
しゃっくりと鼻水を啜るせいで、うまく言葉が喋れない。
今ココにいる友達に、『ありがとう』って伝えたいのに―――。
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