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「母ちゃん手伝うぞ」
ブレザーを脱いで鞄の上に置く。
「じゃあご飯盛ってちょうだい」
「分かった」
妹用の小さめの茶碗と自分と母の茶碗を食器棚から出す。楓のは母のよりもふた回りほど大ぶりな茶碗だ。炊飯器の中のご飯をふんわりと盛った楓は満足げにテーブルに置いた。
妹も手伝って箸を並べている。
朝食の準備が済むと、楓は笑顔でテーブル上の朝食に「いただきます!」と手を合わせた。
パクパクと白米をかっこみおかずも綺麗に片付けて行く。
楓は最後のおかずと白米をガバリ、と食べて口の中を綺麗にしたあと「ごちそうさまでした!」と嬉しそうに両手を合わせた。
そして買いだめしているパン数個を掴み、鞄とブレザーが置かれているソファーへと座る。テレビの電源を入れるとちょうど面白そうなニュースをやっていた。
『昨夜10時、巳土ビル屋上にある監視カメラに映った摩訶不思議な映像が話題を呼んでいます』
アナウンサーの顔から画面が変わり、暗い屋上の映像に切り替わった。音の無い映像が数秒続いたあと、ヘリポートの中心部分に黒い塊がなんの前触れもなく現れた。よく見ればそれは黒猫だ。
そのあと大型犬とペンギンが現れて、眩い光が3匹の動物を覆ったと思いきや、監視カメラは突如砂嵐と化した。
「おぉ~なんだこりゃ…」
パンをむしゃりむしゃりと食べながら楓はテレビにかじりつく。
『この映像はユーキューブにもアップされ、一夜でランキング上位となっておりますが、…本当に摩訶不思議な映像ですね』
アナウンサーはそれだけを言うと、次のニュースへと移ってしまった。「え、それだけなのか?」と思わず声に出してしまう程あっさりとしていた。
「摩訶不思議っていうか絶対変だろ!おかしいだろ!」
ムシャムシャとパンを食べながら興奮気味にテレビにツッコミを入れる楓。返事などもちろん返ってこない。
パンを食べ終わった楓は、歯を磨きに洗面所へ向かった。
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