01.見可者(ケンカシャ)

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 それはまるで、侍が抜刀をする時のような構えだ。  彼女もそれと同様、腰にある何かを掴んで抜くが如く構えを俺達に見せる。  何をするのかと思った矢先――――(きら)めく。 「創生(ユレイト)――」  少女が淡泊にそう呟くと。左手首に付けている銀色の腕輪の小さな十字架が瞬間的に煌めく。  それとほぼ同時。  少女は腰から何かをゆっくりと抜き始めた。  (まばゆ)いほどの白い閃光を放つ、細い棒のような一条の何かを。  やがて抜き終わると、それは閃光の白色から、徐々に暗い色へと変わっていく。  閃光の正体。  それは――1本の(けん)。  手前よりも剣先のが若干太い(ばち)のような形の剣身(けんしん)は白銀の光沢を放っており、小さな(つば)と細い(つか)は彼女の髪と同じ金色だ。  そんな不思議な形の剣を、彼女は空中からいきなり取り出していた。   「なんだよそれ……」  驚かずにはいられねぇ。  目の前にいる少女が閃光とともに、いきなり空間から剣を抜いたなんてのは――普通じゃありえねぇ。 「私の死神(デス)(サイズ)――『鎮魂歌(レクイエム)』よ」  胸先まで剣を掲げ、説明する少女。 「死神の鎌……」  どうしてか。  その言葉を耳にしただけで、全身に奇妙な感覚が走る。 「いや~、すげぇな君! 今の手品ってどうやっ――」 「今一度確認させてもらうけど、貴方の名前は?」 「えっ?」  篤の言葉を遮る。  わざとらしく、話を変える。 「貴方の名前は?」 「俺は上坂篤。こっちは伊澤悠二だ」 「……そう。どうも」  一瞬だけ表情を緩め、静かにそう言った。  剣の銀色が、一段と光る。  僅かに光沢を持っているその銀色は、より光沢を増す。  この交差点に、その銀色は色を浮かばせる。  
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