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「だって――貴方も霊魂のはずでしょ!?」
「はぁ? 霊魂? お前は一体何を言ってんだ?」
「何をって……、貴方は彼と同じでもう死んでいるはずよ! なのにどうして……」
「……俺は死んじゃいねぇよ」
俺は死んでねぇ。
目の前で他人の死を目撃しただけだ。
見たくなかった、篤の死を。
「……なら、ならどうして………………貴方は私が見えているの?」
「……えっ?」
それはさっきと同じ、場違いな冗談かと思った。
また「見えないわけがない」と回答をする質問かと思っていた。
けど、そうとは言い切れねぇ。
少女が、これまでにないほどの驚愕した表情を浮かべているからだ。
その表情は、また場違いな冗談の表情なのか。
はたまた、本当の事を言っている表情なのか。
――気付けば。
俺達の周りには人が集まりだしている。
遥か遠くでは、救急車のサイレンが大きくこだましている――――。
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