01.見可者(ケンカシャ)

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 少女は一つ、小さな溜め息をつく。 「信じないでしょうね。私の言葉なんて」  信じるわけねぇ。  薄情な奴の言葉なんて、信じらるわけねぇ。 「けど、これは紛れもない事実よ。貴方は――いえ、貴方達は私が見えるのよ」 「貴方達?」 「貴方と、貴方の妹さんの事よ。唐突に押し掛けた私をもてなすなんていうのは、私が見える人間じゃないと出来ない事でしょ?」 「……あぁ」 「つまり貴方達は、兄妹で私が見えるのよ」  藍那もこいつが見える。  それは、当たり前と同時に特別という意味もある。    こいつが見えて当たり前という意味。  こいつが見えるのは特別という意味。  見えるのが……特別……。 「やっぱり信じてないわね。その表情からして」 「当たり前だろ。お前の言葉なんて信じれるかよ」  情が無さすぎるこいつの言葉なんか、信じたくもねぇ。 「それとその態度、いい加減やめてもらえないかしら? 上坂篤の死を軽蔑したなんて事を、いつまでも根に持たないで欲しいわ」 「…………」 「断固として止めないつもりね……仕方無いわ」  少女は身体を壁から離し、ゆっくりと俺に歩み寄る。 「な、なんだよ……?」  俺の前まで来ると、少女は数瞬の間、その場で俺をじっと見る。   「…………」  コートの内から両手を出し、胸元にある留め具に手を掛ける。  そして。  少女はあっという間に、羽織っているコートを脱いだ。 「――――っ」  その身体は、目を奪われてしまうような身体だ。  黒いキャミソールとハーフパンツから露出している肌は、透き通るほど白い。  それは、全く日焼けをしていないと言っても過言ではないほどだ。  それに加え、少女の体つきは服の上からでもわかるほど華奢だ。  無駄の無い、魅力的な体格をしている。  胸元には、その体つきに負けないほど綺麗な胸がある。  たいして大きくはないが、滑らかな曲線を描いているその形はどことなく目が行ってしまう。  やがて少女は、両手でキャミソールの裾を持ち、それを徐々に捲り上げて――――。
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