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少女は一つ、小さな溜め息をつく。
「信じないでしょうね。私の言葉なんて」
信じるわけねぇ。
薄情な奴の言葉なんて、信じらるわけねぇ。
「けど、これは紛れもない事実よ。貴方は――いえ、貴方達は私が見えるのよ」
「貴方達?」
「貴方と、貴方の妹さんの事よ。唐突に押し掛けた私をもてなすなんていうのは、私が見える人間じゃないと出来ない事でしょ?」
「……あぁ」
「つまり貴方達は、兄妹で私が見えるのよ」
藍那もこいつが見える。
それは、当たり前と同時に特別という意味もある。
こいつが見えて当たり前という意味。
こいつが見えるのは特別という意味。
見えるのが……特別……。
「やっぱり信じてないわね。その表情からして」
「当たり前だろ。お前の言葉なんて信じれるかよ」
情が無さすぎるこいつの言葉なんか、信じたくもねぇ。
「それとその態度、いい加減やめてもらえないかしら? 上坂篤の死を軽蔑したなんて事を、いつまでも根に持たないで欲しいわ」
「…………」
「断固として止めないつもりね……仕方無いわ」
少女は身体を壁から離し、ゆっくりと俺に歩み寄る。
「な、なんだよ……?」
俺の前まで来ると、少女は数瞬の間、その場で俺をじっと見る。
「…………」
コートの内から両手を出し、胸元にある留め具に手を掛ける。
そして。
少女はあっという間に、羽織っているコートを脱いだ。
「――――っ」
その身体は、目を奪われてしまうような身体だ。
黒いキャミソールとハーフパンツから露出している肌は、透き通るほど白い。
それは、全く日焼けをしていないと言っても過言ではないほどだ。
それに加え、少女の体つきは服の上からでもわかるほど華奢だ。
無駄の無い、魅力的な体格をしている。
胸元には、その体つきに負けないほど綺麗な胸がある。
たいして大きくはないが、滑らかな曲線を描いているその形はどことなく目が行ってしまう。
やがて少女は、両手でキャミソールの裾を持ち、それを徐々に捲り上げて――――。
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