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構えた剣が震えてカタカタと我ながらなんとも情けない音が響く。
こんなたくさんの見物人の中こんな音が響くなんて、格好がつかないじゃないか…
だが、それも仕方ないのかもしれないな、自分はもちろんのこと、遠く安全な場所に陣取る観客達も〝彼〟が喋ることを許してはくれない。
そう…俺の剣と対峙する相手、どこか血ぬれているのかと思うほど赤黒い大きな、およそ人が持つものとして設計されてないと分かるほどのバカデカイ、ハンマー。
きっと何らかの仕掛けがあるのだろうがこの時の俺はそんな些細なことに気付かずに〝彼〟の〝力〟とハンマーの大きさに呑まれていた。
「どうするの?降参する?それとも……アハッ♪」
そう言って笑う〝彼〟はとても可愛らしい顔をしていた。
「ぅ………ぁう………」
…こんなにも情けない声が出せたんだな…
…あぁ空は青いなぁ…
そんなことどうでもいいのに、こんなとこで考えることじゃないのに。
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