ユーリ・ジェドガンキス

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厨房の扉を開ける。誰も居ない。 当然ね。今の時間を考えると、子供は寝てる時間だものね。 食器を流しへと運ぶ。その時、視界に紙切れが写った。 《食器は置いといて下さい。 アーノルド》 「ふふっ…アーノルドったら、私に働いて欲しくないのかしら」 スタン・アーノルド。 スキンヘッドが輝き、茶色の瞳は柔らかく、40を越えた良いおじさんだ。 この城の料理長にして、かなりの世話焼き。自分の仕事で手一杯の筈なのに人の心配ばかりしている。 「ホントにいい人が多いわ…」 私の予定を知ってるのか、こんな書き置きを残すなんて。 アーノルドの言い付け通り、食器を流しに置いて、厨房を出る。 「ユーリは寝たかしら…」 今すぐにでも戻りたいが、この後、王城の一角で会議がある。 それには参加しないといけない。 「ごめんなさいユーリ…終わったらまた行くからね」 聞こえる筈はないがそんな言葉が漏れる。
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