ユーリ・ジェドガンキス

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玉座の間の隣。そこが作戦会議室。きっと既に全員が揃っているだろう。 私は駆け足で階段を上がる。 厨房から近くて助かった。すぐに2人の兵士が立つ扉が見えた。 「…エリザ・ジェドガンキス、只今参りました」 兵士達は互いに頷くと、私を部屋の中へと通してくれた。 「遅れました…すみません」 「よい、ユーリ君を診ていたのであろう?」 国王が優しく声を掛けて下さる。 この人は一番に私を迎え入れてくれた人だ。平民とか関係無しに。 私は一度深くお辞儀をすると、夫の座る隣の席へと移動した。 「これで全員が揃ったの。ではこれより神託について会議を始める」 国王の声が響く。 「まず、今回の変更された内容について何か意見のあるものは?」 「はい」 国王の隣に座る男が手を上げる。 キール・C・ガンドロフ。 深緑の髪をオールバックにまとめ、鋭く尖った視線は味方すら抉る。 「書庫を調べた結果、“血”が出た神託の時は災害や、戦により大勢の人が亡くなり。“錆”と出た神託の時は、歴史的大規模な戦争が起きています」
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