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いつもはそんな遠くの車など観察しないが、その車は二車線を使ってふらついていたのだ。
「あれは…通報したほうがいいよな…」
ケータイを取り出そうとした時、数メートル先の横断歩道を渡ろうとする小さな女の子が見えた。
イヤな感覚が全身を駆けめぐり、血の気が引いていくのがわかった。
「っ……!」
買い物袋を投げ捨てて、構えると、運動音痴のボクの体が物凄く軽く感じて、一度大きく踏み込むと一気に加速して女の子を抱えて歩道へとダイブした。
すぐ後ろを物凄いスピードが通り過ぎて行くのを肌で感じた。
「ハァハァ…だ…大丈夫…?」
なんだか物凄く体が重くて息も上がり苦しかった。
「う…うん…お…お兄…ちゃん…」
なんだかとても哀しそうな目でボクを見ている。
「だ…大丈夫だよ…ちょっと疲れただけだから…」
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