新しいスタート

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新しいスタート

「上がって…」 「おう。」 部屋は半年間ずっと片付けておらず、少し躊躇したが、 今は優と話すことを優先した。 「優、もうあたしダメかもしれない…」 「…」 ― 「っ…うぅ 隆司… なんで俺らを置いていくんだよ…」 今まで涙を見せてこなかった強がりの優が、言葉を詰まらせながら泣いていた。 「うぅ…隆司…たかしぃ…」 気づけばアタシも優につられて泣いていた… ― 「ふぁぁ… あれ…?今何時だろ。」 時計は午前3時を指していた… いつのまにかアタシは泣きつかれて寝てしまっていた 「優…? どこ…?」 ガチャ 「あ、ごめん。起こした? ちょっとコンビニにいってた。 プリン買ったけど、食べる?」 「うん、貰う。」 アタシと優は、ベッドに腰かけた。 「お前さぁ、ホントに隆司が好きだったんだな。 寝言でも、隆司隆司って言ってた。」 「うん、大好きだった。 いや、今も大好き…」 「楓、恋人を想い続けるのは大事だけど、 お前はもう隆司から卒業しなきゃいけない。」 優が真っすぐアタシの目を捉えた。 「分かってる… 頭では分かってるんだけど… 隆司を好きな気持ちは消えないのっ……」 また涙が出てきた。 ホントあたしって泣き虫。 ― ぎゅ… 「優…?」 気づけばアタシは優の腕の中にいた。 「楓… 俺じゃダメか…? 俺がお前の支えになりたいんだ。」 「優…、アタシの心には、まだ隆司が…」 「っ… 分かってる… それでもいい。 楓が俺を好きになってくれるまで、待つから…」 「… ホントに、ホントにそれでもいいの…?」 「あぁ。 これからは、俺がお前を幸せにするから…」 「 うん。 」 ― 私は今、優と、新しい未来に向かって歩みだした…
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