愛する人は…

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愛する人は…

「今週末なら空いてるし、 どっかデート行こっか。」 「ホントに…? じゃあアタシ、優の家行きたい。」 「えっ、俺んち?」 「うん、あんたんち(笑)」 「別に良いけど、せっかくのデートなのに俺んちでいいの?」 「だからあんたんちでいいって言ってんじゃん(笑)」 あたしは、あまり外に出るのに慣れていないし、 着飾って、ばっちりメイクで恋人とイチャイチャなんてしたいと思わない。 「てかさ、彼氏の部屋に行きたいって結構大胆なこと言ってんぞ(笑)」 「あ、いやっ…違うって、その~…」 「冗談だよ、冗談(笑)」 「もう…」 アタシは拗ねるように、体育ずわりした自分の腕に顔を埋めた。 「怒ってる顔も可愛い…」 優はアタシを覗き込むようにして、指でアタシの顎を持ち上げた… ― んっ… 優はアタシが機嫌を損ねたとき、いつもキスで私の心を奪ってしまう… そう… たかちゃんみたいに… 本当は悪いことだって分かってる。 でも、優のすること全てが、たかちゃんにそっくりなんだ… 「んじゃ、またメールする。」 「うん。待ってるね」 「はぁ… アタシ最低だ。」 空虚な寂しさが胸に残った… アタシは"優"と付き合っているのに、"たかちゃん"に愛されている気分になってる…。 「優、ごめん… 私が愛する人は… まだ"たかちゃん"なの…」 "独り言"のように呟いた声が、遠ざかる優の足音と共に、 部屋へと"虚しく"響いた…
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