新垣 真

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僕はそう口から言葉をこぼしていた。 「ん? 真にも分かるかー!野球のおもしろさが!」 隣で一人喜んでいるお父さんを今でもよく覚えている。 「いいかぁ、真! ピッチャーはな仲間の思いをボールに乗せて投げるんだ」 「ピッチャー…仲間…」 僕にとっては、新鮮な言葉だった。 「桜丘ー!」 「おめでとー!」 「桜丘ー!」 「甲子園でも頑張れよ!」「応援行くぜー」 僕の周りの人たちが突然立ち上がり叫んでいた。 「きょうつけ! 礼!」 「「「ありがとうございました!!」」」 選手たちがこちらに向かって頭を下げた。 「決めたよ…お父さん」 「ん? なにをだ?」 「僕、ピッチャーになる!ピッチャーになって甲子園に行くよ!!」 「フンっ! 頑張れよ!」 それから僕は野球を始めた。 それは僕が小学校6年生のときだった。
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