◆あなたがいれば◆

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イアハートはシンにキスをしたあと、部屋を出た。 シンはまだ朦朧とする中、眠ってしまったのだ。 イアハートは視線を足元に落とした。 (ズルい…って分かってる…でも…。) シンが好き。 イアハートは芽生え始めていた自分の気持ちを確証した。 「ラザリスの残留思念?」 アンジュは、ルカの話を聞いて驚いた。 「正確には、ラザリスというよりも、世界樹から生まれて、芽生えなかった『世界』の種子のドクメントの一部が、世界樹を侵食している。」 ルカの説明に、アンジュは納得をした。 「だから世界樹と一体であるシンの体に、影響が出てるのね。」 アンジュは納得をした。 「世界樹から生まれなかった種子はルミナシアを恨み、シンの体を操ろうとした。だから…。」 そこまで話して、イリアはハッとした。 「シン!」 イリアの後ろをシンが駆け抜けていったのだ。 「待ちなさい、シン!」 アンジュの言葉に、入り口付近でシンが立ち止まった。 「どこにいくつもり?」 厳しい表情で訊かれ、シンは背を向けたまま黙っていた。 「世界樹へ行くつもりなんでしょ?一人で。」 シンは黙っていた。 「何で一人で背負おうとするんだよ!!僕も…。」 ルカが言うと、シンはやっと口を開いた。 「このままじゃ、僕がみんなを傷つけてしまう。そんなの絶対に嫌なんだ。」 シンはまだ何か言いたそうなルカを振り切り、甲板に出た。 「誰…?」 そこにいたのは、ピンク色の髪の少女。 だが、シンの知っている3人のカノンノの誰でもなかった。 「私はカノンノ…。」 カノンノと名乗る少女はクスッと笑みを浮かべた。 「いけない、シン!それから離れて!!」 声を上げたのはパスカだった。 シンがえっ!?と振り返ると同時にカノンノと名乗る少女が、シンに襲いかかった。 シンはそれを避けてかわした。 だがすぐに体制を変えた少女が剣で襲いかかった。 シンがしまった、と思った瞬間。 「ファイヤーボール!!」 火の玉が少女に向かって飛んできた。 「カノンノ…。」 放ったのはカノンノ。 そして剣を構えたイアハートがいた。 カノンノは、シンの前に立ちはだかり、少女に向かって叫んだ。 「シンはあたしが守る!!」 強い瞳で少女を見上げたカノンノが言った。 少女はクスッと笑った。
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