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イアハートはシンにキスをしたあと、部屋を出た。
シンはまだ朦朧とする中、眠ってしまったのだ。
イアハートは視線を足元に落とした。
(ズルい…って分かってる…でも…。)
シンが好き。
イアハートは芽生え始めていた自分の気持ちを確証した。
「ラザリスの残留思念?」
アンジュは、ルカの話を聞いて驚いた。
「正確には、ラザリスというよりも、世界樹から生まれて、芽生えなかった『世界』の種子のドクメントの一部が、世界樹を侵食している。」
ルカの説明に、アンジュは納得をした。
「だから世界樹と一体であるシンの体に、影響が出てるのね。」
アンジュは納得をした。
「世界樹から生まれなかった種子はルミナシアを恨み、シンの体を操ろうとした。だから…。」
そこまで話して、イリアはハッとした。
「シン!」
イリアの後ろをシンが駆け抜けていったのだ。
「待ちなさい、シン!」
アンジュの言葉に、入り口付近でシンが立ち止まった。
「どこにいくつもり?」
厳しい表情で訊かれ、シンは背を向けたまま黙っていた。
「世界樹へ行くつもりなんでしょ?一人で。」
シンは黙っていた。
「何で一人で背負おうとするんだよ!!僕も…。」
ルカが言うと、シンはやっと口を開いた。
「このままじゃ、僕がみんなを傷つけてしまう。そんなの絶対に嫌なんだ。」
シンはまだ何か言いたそうなルカを振り切り、甲板に出た。
「誰…?」
そこにいたのは、ピンク色の髪の少女。
だが、シンの知っている3人のカノンノの誰でもなかった。
「私はカノンノ…。」
カノンノと名乗る少女はクスッと笑みを浮かべた。
「いけない、シン!それから離れて!!」
声を上げたのはパスカだった。
シンがえっ!?と振り返ると同時にカノンノと名乗る少女が、シンに襲いかかった。
シンはそれを避けてかわした。
だがすぐに体制を変えた少女が剣で襲いかかった。
シンがしまった、と思った瞬間。
「ファイヤーボール!!」
火の玉が少女に向かって飛んできた。
「カノンノ…。」
放ったのはカノンノ。
そして剣を構えたイアハートがいた。
カノンノは、シンの前に立ちはだかり、少女に向かって叫んだ。
「シンはあたしが守る!!」
強い瞳で少女を見上げたカノンノが言った。
少女はクスッと笑った。
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